「自己破産したら人生が終わる」――そう思い込んで、苦しい返済を続けている方は少なくありません。しかし、15年にわたり債務整理に携わってきた経験から申し上げると、自己破産後の生活は、多くの方が想像するほど厳しいものではありません。
むしろ、借金の重圧から解放されたことで、生活を立て直し、前向きに人生を歩み始めた方を数多く見てきました。この記事では、自己破産後にできること・できないことを正確に整理し、破産後の生活の実際をお伝えします。
自己破産後すぐにできること
自己破産をしても、日常生活のほとんどは変わりません。まず、破産後もこれまでどおりできることを確認しましょう。
働くこと
自己破産をしても、仕事を辞める必要はありません。会社員、公務員、パート・アルバイトなど、どのような形態でも問題なく働き続けることができます。破産手続中に一部の職業(保険募集人、警備員など)に制限がかかることがありますが、免責許可決定が確定すれば制限は解除されます。
引っ越すこと
破産後に賃貸物件を借りて引っ越すことは可能です。賃貸契約の審査は信用情報とは別の基準で行われることが多く、収入に見合った物件であれば契約できるケースがほとんどです。
結婚すること
自己破産は結婚に法的な影響を与えません。破産の事実が戸籍に記載されることもありません。配偶者の信用情報に影響が及ぶこともないため、結婚相手がローンを組むことにも支障はありません。
年金を受け取ること
公的年金(国民年金・厚生年金)は差押え禁止財産ですので、自己破産しても受給権を失うことはありません。年金を受け取る権利は保護されています。
選挙権を行使すること
選挙権・被選挙権は自己破産によって制限されません。投票も、立候補も、破産の前後で変わりなく可能です。
一定期間できないこと
自己破産にはデメリットもあります。ただし、そのほとんどは一定期間が過ぎれば解消されるものです。
クレジットカードの作成(5〜7年)
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報(いわゆるブラックリスト)が登録されます。登録期間中はクレジットカードの新規作成やローンの利用ができません。登録期間は概ね5〜7年程度で、期間経過後は再びカードを作れるようになります。
住宅ローン・車のローンの利用
信用情報が回復するまでの間は、住宅ローンや自動車ローンなどの借入もできません。ただし、現金での購入は問題ありません。中古車を現金で購入する方は実際に多くいらっしゃいます。
一部の職業制限(破産手続中のみ)
破産手続の開始から免責許可決定の確定までの間、保険募集人、警備員、宅地建物取引士などの資格に制限がかかります。しかし、これは手続中の一時的なもので、免責が確定すれば制限は解除されます。通常、数か月程度です。
よくある誤解の解消
自己破産に関しては、事実と異なる情報が広まっていることが多いです。15年の実務経験を踏まえ、よくある誤解を解消します。
「戸籍や住民票に載る」→ 載りません
自己破産の事実は戸籍にも住民票にも記載されません。官報には掲載されますが、日常的に官報を確認する人はほぼいないため、周囲に知られる可能性は極めて低いです。
「パスポートが取れなくなる」→ 取れます
自己破産をしてもパスポートの取得・更新に支障はありません。海外旅行も問題なく可能です。ただし、破産手続中は裁判所の許可が必要な場合があります。
「会社にバレる」→ 基本的にバレません
弁護士に依頼した場合、債権者とのやり取りは弁護士が行います。勤務先に通知が届くことはありません。給与差押えを受けている場合は別ですが、それ以外であれば会社に知られずに手続きを進められるケースがほとんどです。
「家族に迷惑がかかる」→ 法的な影響はありません
自己破産の効果は本人にのみ及びます。家族が保証人になっていない限り、家族の財産や信用情報に影響はありません。
破産後の生活再建のコツ
自己破産は終わりではなく、新たなスタートです。生活を安定させるためのポイントをお伝えします。
家計管理を習慣にする
破産後は借入ができないため、収入の範囲内で生活する習慣を身につけることが大切です。家計簿アプリなどを活用し、毎月の収支を把握しましょう。この「借りられない期間」をプラスに捉え、堅実な家計管理の習慣を作ることが、長い目で見て大きな財産になります。
デビットカードを活用する
クレジットカードが作れない期間中は、デビットカードが便利です。銀行口座の残高から即時引き落としされるため、使いすぎの心配がありません。ネットショッピングにも利用でき、日常生活で不便を感じる場面は大幅に減ります。
緊急時の備えを少しずつ作る
借入ができない分、急な出費に備えて少額でも貯蓄を始めることをお勧めします。まずは生活費の1〜2か月分を目標に、無理のないペースで貯めていくことが重要です。
まとめ
自己破産後の生活は、世間で思われているほど厳しいものではありません。一定期間のクレジットカードやローンの利用制限はありますが、日常生活のほとんどは変わらず送ることができます。むしろ、借金から解放されることで、精神的にも経済的にも生活が安定する方がほとんどです。
破産後の生活に不安を感じて一歩を踏み出せない方は、まずは弁護士に相談してみてください。当事務所では初回相談を無料でお受けしています。破産後の生活について具体的にお話しいたします。