「自己破産をすると家族に迷惑がかかるのではないか」――この不安から、借金問題の解決を先延ばしにしている方は非常に多いです。家族のことを思うからこそ、自己破産に踏み出せないというお気持ちはよく分かります。
しかし、自己破産が家族に与える影響は、多くの方が想像しているよりも限定的です。15年にわたり債務整理に取り組んできた経験から、家族への影響について一つひとつ正確にお伝えします。
家族の信用情報には影響しない
もっとも多い誤解が「自分が自己破産すると、配偶者や子どもの信用情報にも傷がつく」というものです。
信用情報はあくまで個人単位で管理されています。ご自身が自己破産をしても、配偶者やお子さんの信用情報には一切影響しません。配偶者が自分名義でクレジットカードを作ったり、住宅ローンを申し込んだりすることは問題なくできます。
ただし、配偶者が自己破産した方の家族カード(追加カード)を利用している場合は、本会員のカードが利用停止になるのに伴い、家族カードも使えなくなります。配偶者が自分名義で新たにカードを申し込めば解決できます。
配偶者名義の財産は処分の対象外
自己破産で処分の対象となるのは、破産者本人名義の財産のみです。配偶者名義の預金口座、車、不動産は処分の対象にはなりません。
ただし、注意が必要なのは、夫婦の共有財産の扱いです。たとえば、住宅が夫婦の共有名義になっている場合、破産者の持分は処分の対象になります。また、破産申立て前に財産を配偶者名義に移す行為は「財産隠し」と見なされる可能性があるため、絶対に避けてください。
子どもの進学・就職に影響しない
「親が自己破産すると、子どもの進学や就職に影響するのでは」という不安も多くいただきます。
親の自己破産が子どもの進学・就職に影響を及ぼすことはありません。入学試験の合否や就職の採用選考において、親の破産歴が調査されることはありません。
ただし、実務上注意が必要なのは奨学金の問題です。日本学生支援機構の奨学金は、親が連帯保証人になることが一般的です。自己破産をすると連帯保証人になれないため、機関保証制度(保証料を支払って保証機関に保証を依頼する制度)を利用する必要があります。機関保証制度を利用すれば、親が保証人になれなくても奨学金を受けることは可能です。
家族が保証人になっている場合は注意が必要
家族への影響としてもっとも注意すべきなのが、家族が借金の保証人(連帯保証人)になっている場合です。
自己破産により本人の借金は免責(免除)されますが、保証人の返済義務はなくなりません。主債務者が自己破産すると、債権者は保証人に対して一括返済を求めてくることが一般的です。
たとえば、夫が300万円の借金について自己破産し、妻が連帯保証人になっていた場合、債権者は妻に300万円の一括返済を請求できます。この場合、妻も任意整理や個人再生などの債務整理を検討する必要が出てきます。
15年の実務経験の中で、保証人への影響を考慮せずに自己破産を進めてしまい、後から問題になるケースを見てきました。保証人がいる借金がある場合は、必ず弁護士に事前に伝えてください。
同居家族の家計への影響
自己破産をしても、家族の収入が差し押さえられたり、家族の給与が減ったりすることはありません。ただし、以下のような間接的な影響はあり得ます。
持ち家を失う場合
破産者名義の住宅は処分の対象です。持ち家を失うことで、同居家族も引越しを余儀なくされることがあります。住宅を残したい場合は、個人再生の住宅ローン特則の利用を検討します。
生命保険の解約
破産者名義の生命保険で、解約返戻金が20万円を超えるものは処分の対象になる場合があります。家族の保障に影響するため、事前に確認が必要です。
カードが使えなくなることへの対応
破産者はクレジットカードが使えなくなります。家計の支払いをカード決済にしている場合は、配偶者名義のカードに切り替えるか、デビットカード・プリペイドカードを利用する必要があります。
戸籍・住民票・選挙権への影響はない
自己破産に関するよくある誤解を正しておきます。
戸籍・住民票に記載されない
自己破産の事実が戸籍や住民票に記載されることはありません。これは完全な誤解です。
選挙権は失わない
自己破産をしても選挙権・被選挙権は一切影響を受けません。投票も立候補も問題なくできます。
パスポートは取得できる
自己破産してもパスポートの申請・取得は可能です。海外渡航も自由にできます。
まとめ
自己破産が家族に与える影響は、多くの方が心配されているほど大きくはありません。信用情報は個人単位で管理されますし、子どもの進学・就職に影響することもありません。もっとも注意が必要なのは、家族が保証人になっているケースです。
家族への影響を心配して借金問題を放置していると、利息の増大や差押えなど、かえって家族を巻き込む深刻な事態を招きかねません。当事務所では、ご家族への影響も含めた総合的なアドバイスを初回無料相談でお伝えしています。一人で悩まず、まずはご相談ください。