債務整理を検討している方から、「手続き後にクレジットカードは使えなくなりますか?」というご質問をよくいただきます。確かに、債務整理後は一定期間クレジットカードの作成やローンの利用が制限されます。しかし、その制限は永久に続くものではありません。
15年にわたり債務整理に携わってきた経験をもとに、信用情報の回復期間、回復後のカード申込みのポイント、そして制限期間中の代替手段について解説します。
なぜ債務整理後にカードが作れなくなるのか
債務整理を行うと、信用情報機関に「事故情報」が登録されます。これが一般に「ブラックリストに載る」と言われる状態です。
日本には主に3つの信用情報機関があります。CIC(クレジットカード会社が主に加盟)、JICC(消費者金融が主に加盟)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)(銀行が主に加盟)です。クレジットカードやローンの審査では、これらの機関に照会が行われ、事故情報が登録されている間は審査に通らなくなります。
なお、事故情報が登録されるのは本人の信用情報のみです。配偶者や家族の信用情報には影響しません。
手続き別の信用情報回復期間
信用情報の回復期間は、債務整理の手続きの種類によって異なります。
任意整理の場合:約5年
任意整理では、和解成立後(または完済後)から約5年で事故情報が削除されます。3つの手続きの中では、最も早く信用情報が回復する傾向にあります。
個人再生の場合:約5〜7年
個人再生では、再生計画の認可決定後から約5〜7年で事故情報が削除されます。信用情報機関によって登録期間が異なるため、幅があります。KSC(銀行系)では最長で7年程度登録が残る場合があります。
自己破産の場合:約7〜10年
自己破産では、免責許可決定後から約7〜10年で事故情報が削除されます。KSCでは最長10年程度登録が残ることがあります。期間は長いですが、確実に削除されます。
これらの期間はあくまで目安です。ご自身の信用情報の状況は、各信用情報機関に開示請求をすることで確認できます。開示手数料は1機関あたり1,000円程度です。
信用情報回復後のカード申込みのポイント
事故情報が削除された後、クレジットカードの申込みが可能になりますが、いくつか注意すべき点があります。
以前利用していたカード会社は避ける
信用情報機関の事故情報は一定期間で削除されますが、各カード会社は独自に顧客情報を保管しています。これを「社内ブラック」と呼ぶことがあります。以前、債務整理の対象にしたカード会社やそのグループ会社に申し込んでも、審査に通りにくい場合があります。
最初は1社に絞り、少額から始める
事故情報の削除後は、信用情報が「まっさら」の状態(いわゆるスーパーホワイト)になっています。いきなり複数のカードに申し込むと、「申込みブラック」と見なされて審査に不利になることがあります。まずは1社に絞って申し込み、少額の利用と確実な返済を繰り返して信用を積み上げましょう。
安定した収入があることが前提
カード審査では、安定した収入と勤続年数が重視されます。正社員であれば有利ですが、パート・アルバイトや自営業でも、安定した収入があれば審査に通る可能性はあります。
制限期間中の代替手段
クレジットカードが作れない期間中でも、キャッシュレス決済を利用する方法はあります。15年の経験の中で、多くの方が以下の手段を活用しています。
デビットカード
銀行口座の残高から即時引き落としされるカードです。信用情報に関係なく、銀行口座があれば作成できます。VISAやMastercardのマークが付いたデビットカードであれば、クレジットカードとほぼ同じ場面で利用可能です。ネットショッピングやサブスクリプションサービスにも対応しています。
プリペイドカード
事前にチャージした金額の範囲内で利用できるカードです。審査不要で誰でも利用でき、使いすぎの防止にもなります。コンビニなどで手軽にチャージできるものも多くあります。
家族カード
配偶者や家族がクレジットカードを持っている場合、その家族カードを発行してもらうことが可能な場合があります。家族カードの審査は主カード会員に対して行われるため、本人の信用情報は影響しないケースが多いです。ただし、カード会社によっては審査対象となる場合もあります。
QRコード決済・電子マネー
PayPayやLINE Payなどのスマートフォン決済は、銀行口座からのチャージで利用できるため、信用情報に関係なく使えます。日常の買い物には十分に対応可能です。
ETCカードの代替手段
車を日常的に使う方にとって、ETCカードが使えなくなることは大きな不便です。クレジットカードに紐づいたETCカードは利用できなくなりますが、代替手段があります。
ETCパーソナルカード
NEXCO(高速道路会社)が発行するETCカードで、クレジットカードなしで作成できます。保証金(デポジット)として平均利用月額の4倍程度を預ける必要がありますが、審査なしでETCを利用できます。月の平均利用額が5,000円であればデポジットは20,000円です。
申込みは、ETCパーソナルカード事務局への郵送で行います。手続き自体は難しくありませんので、必要な方は早めに申し込むことをお勧めします。
まとめ
債務整理後のクレジットカード制限は、一定期間が過ぎれば必ず解消されます。任意整理で約5年、個人再生で約5〜7年、自己破産で約7〜10年が目安です。制限期間中もデビットカードやプリペイドカードなどの代替手段を活用すれば、日常生活で大きな不便を感じることはほとんどありません。
「カードが作れなくなるのが不安で債務整理に踏み出せない」という方は、まずは弁護士に相談してみてください。借金を抱え続けるリスクと、一定期間の制限を受け入れるメリットを比較した上で、最善の判断ができるようお手伝いいたします。当事務所では初回相談を無料でお受けしています。