会社の資金繰りが行き詰まり、このまま事業を続けることが難しい――そんな状況に追い込まれたとき、経営者の方は大きな不安を抱えておられると思います。従業員のこと、取引先のこと、そして自分自身や家族の将来のことが頭をよぎるでしょう。
私は福井で15年にわたり法人破産のご相談を受けてきました。法人破産は決して恥ずかしいことではなく、経営者と従業員を守るための法的手続きです。このコラムでは、法人破産を検討する際に経営者が知っておくべき3つのポイントをお伝えします。
ポイント① 法人破産の手続きの概要
法人破産とは、会社が債務の返済ができなくなった場合に、裁判所に申立てを行い、会社の財産を清算して債権者に配当する手続きです。
手続きの大まかな流れは次のとおりです。
- 弁護士への相談・依頼
まず弁護士に現状を相談し、法人破産が最適な選択肢かどうかを検討します。事業再建の可能性がある場合は、民事再生など他の手続きを検討することもあります。 - 事業停止・従業員への説明
破産申立てに先立ち、事業を停止し、従業員への説明を行います。このタイミングや方法は、弁護士と十分に打ち合わせたうえで慎重に進めます。 - 裁判所への申立て
必要書類を揃えて裁判所に破産を申立てます。申立てが受理されると、裁判所が破産管財人を選任します。 - 破産管財人による財産の調査・換価
破産管財人が会社の財産を調査・換価し、債権者への配当を行います。 - 破産手続きの終了
配当が完了すると破産手続きが終結し、法人は消滅します。
申立てから手続き終了までの期間は、会社の規模や財産の状況によりますが、半年から1年程度が一般的です。
ポイント② 経営者個人の責任 ― 連帯保証と経営者保証ガイドライン
法人破産で経営者の方が最も心配されるのが、個人の責任の問題です。
中小企業の場合、金融機関からの借入れに際して経営者が連帯保証人になっているケースがほとんどです。法人が破産しても、連帯保証人としての責任は残ります。そのため、法人破産と併せて、経営者個人の債務整理(自己破産や個人再生)を検討する必要があります。
ここで注目していただきたいのが、「経営者保証に関するガイドライン」です。このガイドラインを活用すると、一定の条件のもとで、経営者が自宅などの資産を手元に残しながら保証債務を整理できる可能性があります。自己破産をせずに済むケースもあるため、15年の経験上、法人破産の相談では必ずこのガイドラインの適用可能性を検討するようにしています。
ガイドラインの適用には金融機関の同意が必要ですが、近年は金融機関側の理解も進んでおり、適用される事例が増えています。
ポイント③ 従業員への対応と未払い賃金の立替払い制度
法人破産において、従業員への対応は非常に重要です。15年の経験の中で、経営者の方が最も心を痛めるのがこの問題であると感じています。
従業員には、破産申立ての前に解雇予告を行う必要があります。解雇予告手当の支払いが難しい場合もありますが、それでも丁寧に説明し、誠実に対応することが大切です。
従業員にとって大きな助けとなるのが、「未払賃金立替払制度」です。これは、会社が破産した場合に、独立行政法人労働者健康安全機構が未払い賃金の一部(最大8割)を立替払いしてくれる制度です。退職日の6か月前から立替払いの請求日の前日までの未払い賃金が対象となります。
この制度を利用するためには、破産管財人の証明が必要になりますので、弁護士が手続きをサポートいたします。
破産後の再出発について
法人破産をすると、経営者としての人生が終わるわけではありません。法人破産によって会社は消滅しますが、経営者個人が再び事業を起こすことは法律上何ら制限されていません。
経営者個人が自己破産をした場合でも、免責決定を受ければ、再び会社の代表取締役に就任することが可能です。実際に、破産後に再起して事業を成功させている経営者は少なくありません。
大切なのは、手遅れになる前に専門家に相談することです。資金繰りが厳しくなってから時間が経つほど、選択肢が狭まり、従業員や取引先への影響も大きくなります。
まとめ
法人破産は、経営者にとって非常に重い決断です。しかし、適切な時期に適切な手続きを取ることで、従業員の生活を守り、経営者自身も再出発への道を開くことができます。
福井で会社の資金繰りや法人破産についてお悩みでしたら、まずはお気軽にご相談ください。15年の経験をもとに、法人破産だけでなく、事業再建の可能性も含めて最善の方法を一緒に考えます。