生活保護を受けていても債務整理はできるのか
結論から申し上げると、生活保護を受給していても債務整理をすることは可能です。むしろ、生活保護を受けている方こそ、借金問題を早めに解決する必要があります。
生活保護費は、最低限度の生活を維持するために支給されるお金です。この保護費から借金を返済することは、制度の趣旨に反します。福祉事務所のケースワーカーからも、借金がある場合は債務整理をするよう指導されることがあります。
15年の実務経験を通じて感じるのは、「生活保護を受けているから弁護士に頼めない」と思い込んでいる方が非常に多いということです。実際には、法テラスの制度を利用することで、費用の心配なく手続きを進めることができます。
生活保護受給者の債務整理は「自己破産」が基本
生活保護を受けている方の場合、債務整理の方法としては自己破産が選ばれるのが一般的です。
任意整理や個人再生は、手続き後に借金を返済していく必要があります。しかし、生活保護費から借金を返済することはできません。そのため、返済が不要になる自己破産が、生活保護受給者にとって最も適した手続きとなります。
自己破産と聞くと不安に思われるかもしれませんが、生活保護を受けている場合は、手持ちの財産も少ないことがほとんどです。そのため、手続きも比較的スムーズに進むケースが多く、実務上もそのように実感しています。
法テラスを使えば弁護士費用の負担はゼロになる
生活保護受給者が自己破産をする場合、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用できます。この制度を使うと、弁護士費用や裁判所への予納金を法テラスが立て替えてくれます。
さらに重要なのは、生活保護受給中の方は、この立替費用の返済が免除される点です。つまり、実質的に費用負担ゼロで自己破産の手続きを行うことができます。
生活保護の申請と自己破産、どちらを先にすべきか
借金を抱えたまま生活が困窮している場合、「まず生活保護を申請するのか、先に自己破産をするのか」という問題があります。
実務上は、先に生活保護を申請し、受給が開始されてから自己破産の手続きを進めるのが一般的です。生活保護を先に受給することで、法テラスの費用免除を受けられるため、金銭的な負担がなくなります。
ただし、ケースによって最適な順番は異なります。借金の督促が激しい場合は、先に弁護士に依頼して受任通知を送ることで取立てを止め、並行して生活保護の申請を進めることもあります。
いずれにしても、早い段階で弁護士に相談が必要となります。
生活保護と自己破産に関するよくある誤解
相談の現場では、いくつかの誤解をお持ちの方によくお会いします。ここで代表的なものを整理しておきます。
- 「自己破産すると生活保護が打ち切られる」――これは誤りです。自己破産をしたことを理由に生活保護が停止・廃止されることはありません。
- 「生活保護中は裁判所の手続きができない」――そのような制限はありません。生活保護受給者も、通常どおり自己破産の申立てができます。
- 「借金があると生活保護を受けられない」――借金があること自体は、生活保護の受給要件に影響しません。ただし、福祉事務所から債務整理を勧められることはあります。
借金と生活の困窮、両方の問題を抱えている方は少なくありません。一人で悩まず、まずは弁護士への相談をご利用ください。