債務整理を検討するとき、最初に候補に挙がることが多いのが「任意整理」です。裁判所を通さずに債権者と直接交渉する手続きで、債務整理の中ではもっとも利用されている方法です。
ただし、任意整理にはメリットだけでなくデメリットもあります。ご自身の状況に合わない方法を選ぶと、かえって問題が長引くこともあります。
15年の弁護士経験を通じて数多くの任意整理を手がけてきた立場から、メリット・デメリットの両面を率直にお伝えします。
任意整理とは
任意整理とは、弁護士が債権者(貸金業者やクレジットカード会社など)と直接交渉し、将来利息のカットや返済条件の変更を合意する手続きです。裁判所を通さないため、「任意」の整理と呼ばれています。
具体的には、今後発生する利息(将来利息)をカットし、元金を原則3~5年で分割返済する内容で和解するのが一般的です。
任意整理のメリット
将来利息をカットできる
任意整理の最大のメリットは、将来利息がカットされることです。たとえば、年利15%で200万円の借金がある場合、利息だけで年間30万円の負担になります。任意整理で将来利息がゼロになれば、返済した分がすべて元金の返済に充てられます。毎月の返済額は同じでも、完済までの期間が大幅に短縮されます。
裁判所を通さない
自己破産や個人再生は裁判所への申立てが必要ですが、任意整理は債権者との直接交渉です。そのため、手続きが比較的簡便で、必要書類も少なく済みます。裁判所に出向く必要もありません。
周囲に知られにくい
自己破産や個人再生では、官報に氏名・住所が掲載されます。任意整理では官報に載ることはなく、裁判所からの通知もありませんので、家族や職場に知られるリスクが低い手続きです。実際、福井のように地域のつながりが強い土地では、この点を重視される方が多いと感じています。
整理する債務を選べる
自己破産や個人再生ではすべての債権者が手続きの対象になりますが、任意整理では特定の債権者だけを選んで交渉できます。たとえば、自動車ローンや保証人がいる借金は除外し、消費者金融やクレジットカードの借金だけを整理するといった対応が可能です。
職業制限がない
自己破産のように手続き中の職業制限がありません。保険の外交員や警備員など、自己破産では制限を受ける職業の方でも、仕事を続けながら借金を整理できます。
任意整理のデメリット
元金は減らない
任意整理でカットできるのは原則として将来利息です。借金の元金そのものは減額されません。借金の総額が大きい場合、利息がなくなっても毎月の返済額が高額になり、返済を続けることが難しくなるケースがあります。
信用情報に登録される(ブラックリスト)
任意整理を行うと、信用情報機関に事故情報として登録されます。いわゆる「ブラックリスト」に載る状態です。登録期間中(おおむね5年程度)は、新たな借入れやクレジットカードの作成が困難になります。
債権者が交渉に応じないことがある
任意整理はあくまで「任意」の交渉ですから、債権者が応じる法的義務はありません。一部の業者は将来利息のカットに応じなかったり、短い返済期間しか認めなかったりすることがあります。
大幅な減額は期待できない
自己破産なら借金がゼロに、個人再生なら借金が5分の1から10分の1に減額される可能性がありますが、任意整理では元金が残ります。借金の額が収入に比べて大きすぎる場合は、他の手続きを検討したほうがよいケースもあります。
自己破産・個人再生との比較
どの手続きが適しているかは、借金の額、収入、財産の状況によって異なります。
返済能力があり、利息さえなくなれば3~5年で完済できるなら、任意整理が有力です。借金の額が大きく返済が困難なら自己破産、住宅を残したいなら個人再生が選択肢になります。詳しい比較は手続き比較ページをご覧ください。
15年の実務経験を通じて感じるのは、最初から「この手続きにしたい」と決めてこられる方も多いのですが、詳しくお話を伺うと別の手続きのほうが適しているケースが少なくないということです。まずは状況を整理したうえで、最適な方法を一緒に考えることが大切です。
まとめ
任意整理は、裁判所を通さず、周囲に知られにくい形で借金を整理できる手続きです。将来利息のカットにより返済負担を軽くできますが、元金が減らないため、借金の額によっては他の方法が適していることもあります。
当事務所では、初回相談を無料で承っています。任意整理が自分に合っているのかどうか迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。ご事情をお聞きしたうえで、最適な解決方法をご提案します。